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2006年11月28日 (火)

『のだめカンタービレ』第7回

今回は二つ大きなテーマがありました。一つは、千秋と優秀な技術をもつ学生演奏者でつくる新しいオーケストラの結成の話。もう一つは、のだめの指導教官がハリセンこと江藤先生に変わったことです。ついでに、ハリセンが改心しました(笑)。

さて、これは何にでもいえることかと思いますが、新しい優秀なメンバーで新しい目的集団が結成されるという話はどの分野でも血湧き肉踊るものです。そのオーケストラ版が今回でした。

それにしても、ふんだんなクラシックの名曲によるBGMにはうっとりさせられます。ベートーベン、ショパン、サラサーテ、そしてもちろんオーボエ協奏曲のモーツァルトやブラームスまで、最も聴かせどころだけをえりすぐってのぜいたくな演奏のつまみ食いとでもいいましょうか。この制作にあたってのクラシックにこだわる姿勢には感心します。役者もいいけど、本当にスタッフ陣の熱意が感じられるドラマです。

ところで、黒木くんのオーボエがのだめに会って、いぶし銀からピンク色になったというのは、役者の演技でそれを表現していましたが、わたしの耳があまり肥えていないせいでしょうか、演奏だけではそのようには聴き分けられませんでした。聴き分けられた人もいるんでしょうが、こういうのはなかなか難しいでしょうね。

今回のシーンで笑ったのは、「裏軒」で千秋、彩子、峰、そして佐久間学などが集まって新しいオケの名前をつけられるまでのコント仕立てのシーンでした。リズムがよくてもうほとんどお笑いの世界になっていましたね。

それから、のだめが黒木くんに弁当の差し入れを渡した後のしゃなりしゃなりとした歩き方。これももう、ばっかばかしさがよく表現されていて笑っちゃいました。

さて、ついにのだめは少しずつ幼稚園の先生から演奏家への道へと進む道程にさしかかりはじめたようです。その最初のステップが、のだめの担当に江藤先生がなったということなんでしょう。しかし、今回はむしろ千秋が独白で「オレがあいつをひっぱりあげなきゃいけない」と言っていましたし、このシーンの最後では「結局、あいつを変えるには自分のことをがんばるしかないな……」と結んでいたことが印象的でした。

そして、もう一つ。黒木君にのだめが上を目指す意味を問うているシーンがありました。ここで、黒木君ははっきりと「上を目指すことは、純粋に音楽を楽しむことだと思う」と明言しています。これは、今後の展開において大きな意味を持ちそうですし、また作者の意図しているものでしょうから、のだめの今後についてもキーとなるせりふとなりそうです。

これは、つまり、のだめなりの自由な考え方による音楽の楽しみ方を大きく考え直す転換を指し示す概念だからです。以前、シュトレーゼマンから「そのままでは千秋と一緒にいられない」ということを言われたことの裏側からの解答でしたしね。

さて、最後のシーンでは千秋の飛行機恐怖症の発覚が映し出されました。
ここは、漫画とかなり違っていましたが、この後の展開をどのように持っていくのか、楽しみです。今までの演出からみると、それなりに自然な展開を期待していいのでしょう。

これまで、原作にほぼ忠実にドラマ化されてきましたが、さすがにワンクールという制約のなかでまとめる必要があるせいか、少しずつテレビドラマとしてのオリジナルなシナリオも出てきました。

というわけで、これからが音楽付きドラマとしての腕の見せ所、お手並み拝見といたしましょう。

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2006年11月21日 (火)

『のだめカンタービレ』第6回

のだめの第6回です。

今回は、最初からラフマニノフのピアノがジャンジャン流れてきてすごい出だしでしたね。夢のシーンとはいえ、のだめの練習風景がずっと流れ、これがすごかった。もう圧倒されるピアノの音にただのドラマじゃないことを思い知らされました。

さて、今回は行き着けの店「裏軒」で、「クラシック・ライフ」の河野けえ子(「けい子」でないのが、いいですね) 音楽評論家・佐久間学の詩的な言葉による海外雄飛の誘いの声が高らかに朗じられます。いわく「海外に飛びたて、才能ある青年よ」と。しかし、

「おれは飛びたてねえんだよ。」

と応える千秋の情けなさ(笑)。
追い討ちをかけるように、なぜ海の向こうに漕ぎ出せないのかと問われ

「だから、こぎだせねえんだよ。」

と激して返答するのがやっとの、もう悲惨としかいいようのない千秋(笑)。

さて、これまであまり目立たなかった加賀屋彩子が今回は久々に長く登場。しかも、なかなか好印象でした。CGのハートマークを使ったのも、以前ののだめのときと同様、あまり目障りでなくGoodでした。そして、のだめが登場してそっと千秋の寝室からドア越しに2人の様子をながめながらのシーン。千秋とのだめが2人で出て行く姿にガリガリと扉をひっかくシーンはなかなかおもしろかった(笑)。

ここで、頭ボッサボサののだめが登場、これまた最高!(笑) すごい鬼気迫るかんじを出しつつ、しかも確かにくさそう(笑)。でも、このときの上野の演技にはやはりうなりました。もうそのものになりきっていましたからね。

さあ、いよいよ今回のクライマックス――わたしの思うクライマックスです。2人のラフマニノフピアノ協奏曲の連弾。しかも、千秋の独白がとってもよい。玉木の低音が心地よく響きます。

最初は途中でやめようかと思いながらも、ついに

「くそっ、ちゃんと合わせてやるから、おれの音を聞け」

という千秋の独白が力強く宣言されます。

これを境にしてからのピアノのすさまじい音の響きには、もう圧倒されました。こんな本物の演奏を聞かせてもらってすっかり心打たれてしまったのです。そして、こんなドラマは二度とないかもしれないって思うほど、すばらしいドラマ・シーンでした。

その一方で 途中千秋とのだめのアイコンタクトのシーンを織り交ぜたりして、それなりに恋物語である部分も忘れさせない。そして、彩子の「もういい、やめて」によって、ちゃんとした青春のほろ苦いドラマの部分まで描かれ、至れり尽くせりのシーンが続々と繰り出されていましたね。

さて、ドラマは、四年生の卒業後の身の振り方の話題でもちきりになります。音大の卒業もまたなかなか大変そうですね。毎年、音大を出る学生がいるわけですから、だれでもプロになれるわけじゃないというリアルなお話でした。ほんの一握りの人だけがオーケストラやソリストとして旅立っていくというある意味では当たり前のことですが、あらためて実感させられました。

後半は、清良の申し出から新オーケストラの結成のストーリーが始まります。オーボエの黒木がいよいよ登場です。それとともに、伝説?のSオケがついに解散します。解散式を兼ねた呑み会ではただだらだらした呑み会の話ばかりでなく、なかなかシビアな話も組み入れられていました。

新しくつくる千秋のオケに、双子の姉妹をはじめとして幾人かのメンバーから入れて欲しいと言われて、断った千秋。双子の姉妹がシンクロ泣きを見せていましたが、しかし「絶対あきらめないから」と力強い宣言をして見せました。そして、それに呼応するかのような千秋の一言。「それでも、おれを見返してくれれば……」 。

何だか、若者の呑み会シーンだからと油断してみていたら、うっかり聞き逃せないこういうせりふもあったりして、思わずドキッとしてしまいます。「うっ、できる!」って昔の武士ならうなってしまうような一こまでもありました(そういう点で、この漫画のストーリーはなかなかよく練られているように思います)。

しかし、これで次回へのシチュエーションは完璧にしつらえられました。新しいオーケストラがメインとなりそうです。そして、方やのだめは……。

ん?、なんとあの張り扇(はりせん)男の江藤先生に籍を替えられてしまったようです。水と油ほどの相性の悪さがはっきりしているのに、いったいこの先生は何を考えてのだめを引き取ったのでしょう? 

最後に、今週の上野樹里について。

今回は、まず何といってもラフマニノフを弾く姿のユニークさ。
そして千秋との連弾で引き終わった後の笑顔でもない、満足だけでもない、放心というのでもない、なんともいえない表情、これがすっごくよかったように思います。この子はこういういろんな想いを重ねる表情が実にうまいんですね。感心します。 そして、コンパのあとでしゃっくりしながら顔を赤くした酔っ払いの演技もかわいらしかったです。

それにしても、新しいオーケストラはかなり楽しみです。そして、のだめのピアノレッスンはどうなるのか。いよいよ目が離せません。


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2006年11月15日 (水)

『のだめカンタービレ』第5回

のだめカンタービレ」第5回です。

ドイツからシュトレーゼマンを追ってやってきたヒットマン、じゃない(笑)マネージャーのエリーゼが来日しました。シュトレーゼマンは本国ドイツへ強制送還される飛行機から飛び降りて(笑)、日本での最後の演奏をすることにしました。曲目はラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』です。

そして、なんとそのピアノ奏者を千秋に命じたのです。千秋はしぶしぶ承知するのですが、後でエリーゼから衝撃的な話を聞いてしまいます。シュトレーゼマンは決して過去に弟子をとったことがないということ、千秋だけに指導しているということがどんなに奇跡的なことなのかを知らされるのです。

一方、理事長に会いに来ていたと思われるシュトレーゼマンは、実は理事長の頼みで来日していたのでした。その目的は、この音大にいる将来性のある学生を指導してほしい、つまり千秋を見出した理事長が海外に行けない千秋に直接シュトレーゼマンの指導を受けさせてやりたかったという狙いだったことが明らかにされます。

そこは、さすがのシュトレーゼマン、すぐに千秋の才能を見抜き弟子にしたのですが、実はもう一人のすごい才能あるピアニストをも見出していました。それが、のだめ、です。だんだん、このストーリーの核心部分が明らかになってきましたね。

さて、学園祭では指揮者・千秋を失ったSオケが仮装して演奏することになりました。そして、ピアノだったため今まで演奏には加われなかったのだめが、ピアニカをもって一緒に出演することになります。曲目は、ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』。

これがなかなかの演奏でしたね。ピアニカによるソロから始まるのですが、どんどん盛り上がって、例の弦楽器総勢によるパフォーマンス・ショーでは、やはり見るものにある種の感動を与えてくれたように思います。

なんだか、今までのクラシックを見てきた人間の多くにとっては不真面目にとれるのかもしれませんが、これはこれでありなのかな、と思わせるに十分な見せ方でした。

そして、最後のラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番が始まりました。もちろん、指揮はシュトレーゼマン、ピアノは千秋です。

それまで、シュトレーゼマンから千秋の演奏について、色気がないとか、いろいろ難癖をつけられて困りきっていた千秋に対して、この演奏前にはあっけなくこういわれます。「もういいんだ。好きにしてくれればいい。いかにこの曲と真剣に向き合ったか、それこそが大事なんだから」といわれてしまいます。

一種の禅問答だったんですね。答えの出しようのない問題を出されて考えて悩み、悩んでは練習する、そういう時間の幾多こそに意味がある、そういう意味だったようです。なるほど、そういう指導方法もあるのか、と妙に納得してしまいました。

ここらでのだめ(上野樹里)の演技についても恒例のように一言、二言。

きょうの回では、Sオケの練習のためにのだめが千秋と一緒に夕食をとれないというシーン、「実は悲しいお知らせがあります。」うんぬんのところですが、ここで千秋に思いっきりなぐられるところが爆笑ものでした(笑)。また、ピアニカの演奏のあと、シュトレーゼマンに将来何になりたいのか、と問われ、「千秋先輩のお嫁さんになって幼稚園の先生になるのが夢です」といいつつ、恥ずかしい、恥ずかしいとしきりに照れながら言っているシーンがとってもかわいらしかったです。

さあ、きょうの大団円、ピアノ協奏曲のラストシーンです。 ここは、もちろん曲の盛り上がり方もよいのですが、なんといってもカメラワークが非常によかった。俳優陣はみんな演技であることはわかっていますから、どこまでそれらしく映してくれるか、それが見どころでした。 でも、その彼らがいかにも乗りに乗って演奏しているかのような映し方・見せ方にとても感心させられました。バックの音楽のすばらしさともあいまって本当に素晴らしい演奏シーンになっていたと思います。

ドラマですから、やはり音楽だけでなく見せ方・映し方もきちんとしていないとがっくりしますからね。この辺、スタッフ陣の努力には大いに敬意を表したい、そう思いました。

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2006年11月 7日 (火)

『のだめカンタービレ』第4回

第4回の「のだめカンタービレ」をいま見終えました。

漫画にはない、音入りの特長を余すところなく生かしたなかなかの秀作だったように思います。

物語は、シュトレーゼマンからSオケを任される千秋の姿から始まりました。 定期演奏会でシュトレーゼマンのAオケと張り合うかたちで指揮することになったのですが、その曲はなんとベートーベンの交響曲第7番。

いいですねぇ。この曲、実は個人的にも好きな曲でしたから、とっても楽しみでした。ベートーベンのシンフォニーの中では珍しく華麗な輝きと踊りたくなるような曲調でなかなか聴き応えもありそうです。

さて、そんなところに千秋の部屋への、のだめの侵食はさらに進み、ついにこたつの搬入を許してしまうことになりました。かわいそうに、こたつの心地よさにはまったく免疫のなかった千秋に、とろとろとまどろむようにすっかり堕落の気配が……。

しかし、さすが主役です。ついにこたつがすべての堕落の原因と見破ります。これはとてもいいところに気づきました(笑)。そして、悪の元凶であるこのこたつをいったんは捨ててしまうのですが……。

あっはっは、やっぱりいちばんの悪は人間であることを悟ったようです。

ところで、漫画ではずっと後に出てくる(だったと思う)三木清良。この役を演じている水川あさみってなかなかすてきな子ですね。ちょいちょい出てくるだけなんだけど、かなり印象的です。今回は、とくに最後のほうでシュトレーゼマンに手の甲をキスされて、すぐにそれを背中でぬぐうところが個人的にはかなりよかったです(笑)。

それにしても、のだめの好きな『プリごろ太』ですか、あんなアニメを入れて「人は一人では生きられない」などという人生訓を垂れるとは……。
そして、まともになったとはいえ指揮をまったく見ないSオケに音酔いして倒れる千秋の口から、なぜか「宇宙飴(あめ)」がポロリと出てくるとは……。

すっげっー、おもしれぇーっ(^^)v。

さあ、きょうはようやく出てきましたよ、のだめのピアノ演奏シーン。 やはり、彼女の演奏がないとね。 きょうはピアノに編曲された第7番でした。猫背で縦横無尽に弾きまくるのだめ。やはり、いいですね。

そして、千秋の独白。 第1回からずっと千秋の独白があり、それは毎回同じ内容のことを言っています。つまり、型にはまらぬ個性をもつ音楽家が確実にいて、そういう彼らには型にはめずもっと彼らのやりたいことを伸ばしたほうがいい、というほどのメッセージかと受け取れます。

うーん、でもこれはちょっと問題がないわけではないように思いますがね。まあ、気持ちはわかりますけど。恩師・斎藤秀雄を語った小沢征爾が言っていたように記憶しているのですが、やはり日本古来にある「守(修)・破・離」のステップを踏んでこその個性であるようにわたしは思うからです。

そして、もう一つ。こちらのメッセージはわたしもかなりうなづけるのですが、最初の回にあったのだめと千秋のピアノ連弾のときに谷岡先生が言ったことです。

音楽の純粋な楽しさを取り戻す(音楽とは音を楽しむことなり)。

これがおそらくは作者のいちばん訴えたいことなのかもしれません。 だからこそ、最後の演奏シーンでのやりすぎの弦楽器・管楽器のパフォーマンス・ショーなどがあっても、千秋の独白は「これで正当な評価は消えたな。」と語ったうえで、しかし「でも、楽しい!」の最後のせりふが飛び出し、それが非常に生きたものとなっていったのでしょう。

ところで 玉木に対する不満は、この独白が同じ内容だけに単調で区別されていないことにあります。まあ、そこはなかなか難しいとは思いますが、のだめと峰の場合、のだめとSオケの場合と対象が違うのだから、そのあたりの違いがはっきりわかるような独白のしかたを望みます。もっとも及第点に至ってないとは言いませんし、演出の責任のほうが大きいとは思います。まあ、総じて玉木は好演しているとわたしは思っています。

最後にまた上野樹里の演技について。

相変わらずのなりきった演技でした。今回感じたのは、Sオケのリハーサルシーンに本来いてはおかしいのに、ちゃんと目立つところにいながら、しかしうるさく感じないところです。そして、主役とはいえ、ただ顔の表情だけで演技するシーンがものすごく多いのに、一生懸命にそれをやりこなしている姿には非常に好感が持てました。やはり、この子は将来が楽しみな役者です。きっとこの経験が将来生きることでしょう。

最後に、今回のようなまともな演奏シーンがラストに来ると、これはもうものすごく感動的に映りますね。このパターンは続けて欲しい、そう思いました。来週も楽しみです。

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