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2006年12月26日 (火)

『のだめカンタービレ』最終回

ついに最終回となりましたね。

最終回を見て、つくづく感じ入ってしまったのは、このドラマはやはり「千秋」のドラマだったということでした。

わたしは、もちろん第1回の感想でも述べたように、このドラマを見たきっかけはのだめこと、上野樹里の演技を観たかったからです。上野の演技はまったく期待を裏切るものではなく、今まで以上に大いにうならされるものでした。 しかし、今回のこのドラマに限れば、これはやはり千秋のドラマ――もっと言えば玉木宏のドラマだったように思います。上野の演技は上野の持ち味が十分引き出されたものでしたが、漫画を読めばわかるように、やはりこのドラマの流れはどうしたって千秋が主軸であり、だからこそ千秋のドラマということは、ある意味で当たり前なのでしょう。

そして今回のドラマの成功――わたしは成功だと思っています――は、まさに千秋の主軸性がきちんと通っていたからだと思っています。 そして、さらにもう一つ言えば玉木宏の今回の好演が、それを支えていたと言っていいのではないでしょうか。甘いマスクと決して照れずにやりきったギャグ演技の好対照によって、単なる二枚目男優以上の付加価値を見せつけたように思います。

それでは、今回のストーリーを概略追ってみてゆきます。

今回は、先週のラストシーンでの大事なシーンから始まりました。のだめがコンクールでトップを取れなくて落ち込んで帰りかけているときに、千秋はのだめが初めて音楽と正面から向き合っている姿を確認して、ついに言います。

「ヨーロッパに一緒に来ないか」。

彼にとっては、初めて恋の告白をするかのようなドキドキものの誘いでした(しかも、予定では簡単に承諾するはずだったのです。はははっ)。 しかし、あっさりのだめは断ります。本当にそれでいいの? って思うくらいに(笑)。

ところで、ここでのだめはこのドラマの通奏低音のように物語るある一つの象徴された言葉を訴えます。

「音楽を自由に楽しく弾いて何がわるいんですか?」

このドラマに深みを与えているのは、多分、このテーマが下敷きになっているからだと思います。このテーマは、いつの時代にもあるのではないでしょうか。 かたや、楽しければ下手でも何でもいいじゃないか、という楽しめればなんでもいい派、そしてかたや、やるからにはきちんと間違いのない、いいかげんではない演奏じゃなければ音楽ではない、という人たち。 どちらがいいか、などなかなか言えません。TPOで違うという意見も出るでしょうし、おそらく議論は百出しそうです。

でも、こののだめによってこの基本的な音楽についての問題をきちんと世間に伝えられたのはよかったように思います。もっとも大半の視聴者にとっては、これもどっちでもいいんですけどね(笑)。

さて、今回初登場ののだめ一家についてもどうしたってコメントせざるを得ません(笑)。

いやあ、なかなか強烈な一家でありました。のだめがとっても小さく感じるほどでしたね。こういう一家がおそらく九州のどこかにあるのでしょう。そういう感じがとっても出ていたように思います。そういう意味ではリアルでした(笑)。 そんな家族なのにのだめの部屋にあるピアノの調律はちゃんと済ませているんでからね。すっげぇー。感心!

すっかり将来の希望を失ったのだめに23件もの携帯メールをくれた江藤先生。 ここは、やはりあの「プリごろ太NEWS」について触れなくてはいけないのでしょう(笑)。 こういう機転は実生活でもかなり効果的なものです。正攻法でなかなかうまく行かない若者はぜひ勉強しておきましょう(笑)。

ところで、ちょっと意外だったのは、のだめを追う千秋を知りながらあの真澄がそのまま許すシーンでした。彼の立場が初めてきちんと示されたシーンということもできます。

さあ、今回のドラマのストーリー上のクライマックスはこうでした。 大川まで会いに行った千秋ですが、タクシーに乗っていてついにのだめと接近遭遇します。それもほんのすぐそばでした。ケイタイでお互いに話し合いながら、ついに千秋はのだめのすぐそばに来ます。そして、のだめのパリ行きの話を聞くうちに、後ろからガッシと抱きしめてついに思いのたけを叫ぶのです。

「絶対に受かれ。おれと一緒にヨーロッパに行こう。俺様を二度と振ったら許さないぞ」

うーん、ドラマ的にはなかなかよいシーンだったと思います。 しかし、残念ながら上野があまりに幼なすぎたかな、って思っちゃいました。千秋の思いいれの強さに対して、のだめの受け方があまりに軽いと感じたのは私だけでしょうか。もっとも、あれはあれでいいとする方もいらっしゃるとは思いますが……。

そういう意味では、峰と三木清良のお別れシーンでの「俺はコン・マス争いをしてみせる」と宣言する峰に対して、ややあって「うん」と応える水川の間の取り方とその表情にはかなり大人な恋愛を感じさせるものがありました。これからの彼女の可能性を感じます。

さあ、本当に最後のクライマックスに来ました。R☆Sオーケストラの演奏会です。

まず、リハーサルから本番までが連続して映し出されたサラ・サーテ「カルメン幻想曲」は清良――真っ赤なドレスが素晴らしい――をフィーチャしながらも、これまでの同窓会的なストーリーを振り返る序曲でした。それにしても、やはりサラ・サーテの曲ですね。わたしは「チゴイネルワイゼン」くらいしか聞いたことがなく、もちろんこの曲も知りませんでしたが、聴いているだけで独特のリズム感と妖しい世界に引き込まれました。

そうこうするうちに、ついにベト7です。 いやあ、いいですねぇ。ベト7がこれほど焦点を浴びたドラマはなかったでしょうし、今後もまずないと思います。これだったら、わたしの好きなベト8もやってほしかったような気がします。それに千秋=玉木の指揮ぶりが見事に上達していることには驚かされました。

それはともかく、 千秋の独白でやはり最後は〆られます。

「おれを大きく変えてくれたこのオーケストラ、みんなに感謝の気持ちを……。素晴らしいオーケストラ、さあ、謳おう、今できる最高の音楽を」

最初のころにも述べましたが、このドラマのテーマは一貫しています。 すなわち、「音楽は、楽しくなくては音楽ではない。でも、楽しむにはきちんとその音楽に向き合う必要がある」という、中学時代にブラスバンドを少しかじった程度のわたしから言わせると、とってもむずかしいテーマを扱っているわけで、そのためにちょっとしたせりふもなかなか簡単に見過ごすことのできないドラマとなっていました。

そして、もう一つ。このドラマによってどれだけ多くの人々がクラシックの素晴らしさを再確認したか。これは私自身を振り返ってみても確実にいえることでしょう。そういう意味で、稀有なドラマといっていいのではないでしょうか。

何はともあれ、主演のおふたり、上野樹里さん、玉木宏さん、見ごたえのある演技をありがとう。お2人とも素晴らしかったです。

そして、今回なによりも特筆すべきは、やはりスタッフの皆さんの努力です。
こんなにスタッフの苦労の伝わるドラマも珍しい。その奮闘努力にごくろうさまのねぎらいの言葉を心より贈りたいと思います。(拍手)

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コメント

こんばんは。
TBありがとうございました。

テーマが一貫しておりぶれなかったのが
良かったですね。
ギャグで笑わせつつ、芯のしっかりした
奥深い音楽ドラマを展開してのけた
制作者にはホント、頭が下がります。

投稿: トミー | 2006年12月30日 (土) 22:59

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