« 2008年6月 | トップページ | 2008年10月 »

2008年7月 8日 (火)

『ザ・マジック・アワー』

『ザ・マジック・アワー』を劇場で観てきました。
実に楽しい映画でしたねぇ。いわゆるエンターテインメントとして王道をゆく映画でした。とにかく笑えます。劇場で私も随分と声を出して笑ってしまいました。ちょっと感じたのは、最近の映画が漫画やコミックを原作としてつくるものが多いのに対して、この映画は映画で漫画を描いているということでしょうか。

三谷幸喜監督作品は、今までにも何本か見ましたがいずれもその場で笑える楽しい映画ですが、後に残るものが何もありません。そして、この映画も間違いなく後に残るものは何もありません(笑)! でも、実におもしろかった。そう言いたい。そんな映画でした。

それにしても、今の日本映画界は俳優さんが過剰なのでしょうか? それとも三谷監督の仁徳で、著明な俳優さんが喜んでちょい役でも引き受けてくれるからでしょうか? 恐らくどちらも本当のような気がしますが、とにかく普通なら主役を張れるクラスの役者さんがメジロ押しの出演です。

いま、ちょっと思い出しても、中井貴一、天海祐希、鈴木京香、唐沢寿明、ちょっと毛色は違うけど香取慎吾等々の面々がほんのわずかなシーンだけを埋めるだけのために出演しています。そして、新人としては、やはり綾瀬はるかくらいがその位置になるのでしょうが、彼女も先日の『僕の彼女はサイボーグ』で主演を張りましたから、その他のメインキャスト――佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、西田敏行などとともにすでに皆さんおなじみの俳優陣ということになります。ぜいたくと言えば、こんなにぜいたくな映画も珍しいですね。

いつも思うのですが、三谷監督という人は映画づくりそのものが好きなんですね。それがとてもよく表れていた映画だと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『クライマーズ・ハイ』

『クライマーズ・ハイ』を劇場で観てきました。

まず観終わっての感想は、「う~ん、実に見ごたえのある映画だった、観てよかった」というものでした。これから検討されている人がおられたら、ぜひご覧になることをお薦めします。

私にとっては久しぶりに社会派?の映画だったと思いますが、この映画は1985年のあの日航機墜落事故のときに地元紙の記者たちが繰り広げた取材と編集にまつわる物語をドキュメンタリータッチで描いた映画です。 新聞社という公器のもつ裏側の事情などをさらけ出しつつ、一方で情報の質とは何か、ということにも正面から向き合った作品でした。

キーワードは主人公・悠木が少年時代に観た外国映画の中のせりふ「チェック&ダブルチェック」。ただ、この映画の最後には、これらのチェックを経てさえ真実はだれにもわからない、というところにまで踏み込み、それを暗示して終えているところが凡庸な作品とは一線を画したものにさせています。

ストーリー自体は、あの日航機事故のあった御巣鷹山の地元・群馬県の地元紙「北関東新聞」の記者・悠木(堤真一)が、墜落事故発生の日からこの事故に関する記事・編集に関する全権デスクを任されて遭遇する約1週間の苦闘を描いたもの。

どんな仕事場でもそうであるように、過去の仕事の実績によって幹部が存在します。一方、過去の栄光だけで偉そうに言っている(ように見えてしまう)幹部や先輩におもしろくない思いをしている現場記者や編集者がたくさんいるという構図は、まず平均的なサラリーマン社会を表しているでしょう。だから、多くの人にとって身近な例に引き比べて理解できるシーンも多いはずです。ただ、一般の会社と多少違うと思うのは、随所に生の感情をぶつけあって喧嘩する場面の多いことです。

一般的には自己保身がありますから、この映画に出てくるほどの激論・討論――とくに社内で上司を罵倒するようなことは普通なら「辞職願」を懐に入れておくのでもなければまず考えられないのですが、この新聞社では平気で罵倒し合います。ある意味、羨ましいくらい風通しのよい職場文化とも言えます(笑)。

まあ、これは多少脚色もあるのでしょうが、新聞社の場合には実際に火事場同様の雰囲気のことも多いでしょうから、これに近い場面は結構あるのかもしれません。少なくともさほど違和感を覚えることなく見ることができました。 それにしても、悠木がその上司を罵倒する言葉の一つひとつが実に当意即妙で、サラリーマンだったら一度は言ってみたいたぐいの胸のすくような言葉が次々に連射されるので、ついつい引き込まれてしまいます(笑)。シナリオが優れているんですね。

それから、悠木は事故関連記事の編集全権を得ていますから、上司としての姿も当然出てきます。臨時の全権デスクと言ってもいわゆる中間管理職に毛の生えたものみたいなものですから、経営者と現場記者との板挟みに苦悩する姿も随所に出てきます。仕事上必要となる冷徹な指示の数々も出さなくてはいけません。それらについても、いずれもリアリティあふれた見ごたえのあるシーンとなっておりました。

そして、記事一つを書くための裏づけ。これがどれくらい困難なものなのか。若い新人女性記者に向かってこう言います。「”たぶん”、”恐らく”、”~だと思います”、こういう言葉のない情報を持ってこい!」。

やがて、全国紙さえ出し抜くかもしれない特ダネ情報を記事にするかしないかで、悠木は決断を迫られます……。

この後は映画をご覧になってもらうとして、とにかく全編気を抜くことを許さない密度の濃い映画でした。その一方でストーリーの頂点までの流れを、登山になぞらえていま何合目辺りにいるのか、それとなく示唆しているシーンが合間に挟まれており、一呼吸置かせる工夫もされています。

役者については、これまた皆さん熱演です。堤真一はここのところどんどん昇り調子ですね。迫力ある全権デスクを好演しています。また、名前はいちいち挙げませんが、悠木の上司役である局長・次長・部長や同僚などを務めた各俳優陣たちも実によかったです。とくに部長役の遠藤憲一は、ほかの映画でもよく名前を見かけるのですが、この映画で初めて意識するようになりました。

最後に「クライマーズ・ハイ」の言葉の意味がこの映画のどこに関連するのか、ここには書きませんが、これも見終えてからわかります。 いやあ、おもしろかったです。


おまけ(既に見終わった方へ)

この映画のクライマックスともいえる県警キャップの堺雅人がウラをとって悠木に電話をかけるシーンがあります。このとき、「サツカンなら、100%です」と言った意味が私にはよくわかりませんでした。わかるのは、”条件付きの裏づけ100%”ということなのだろう、と理解しました。それで間違いなかったのですが、この言葉の正確な意味を知ったのは元・新聞記者の書かれている次のブログを読んでからです。興味のある方のために、ここで紹介しておきます。

「やさぐれPRマンの広報・コミュニケーション日記」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年6月 | トップページ | 2008年10月 »